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アクサダイレクトの真相

緊急経済安定化法に基づいたTARP不良資産救済プログラムで、財務省は、金融機関の資産を財務省の言い値で買い取ることができるとされた。 この決定には法的根拠などなかったが、救済プログラムの第二九条項によれば、以下のとおりとなる。

「この法律〔訳者註”緊急経済安定化法〕に基づいたプログラムに参加するに当たり、資産を移転させられた個人が財務省に対し、その返還を求めることはできない。 ただし規定された例外事項と、財務省と特別に契約を交わした場合はその限りではなどこれは、政府による金融資産の強制収容である。
財務省が望み、銀行が資産を持っていれば、財務省は、自分の言い値でそれを強制的に買い取ることができる。 もちろん、大手金融機関はこのプログラムを支持した。
それは、自分たちが持つ全く価値のない資産(クズ債券)を政府に売り付けることができるからだ。 財務省はさらに、納税者の血税を使って住宅ローンを「保証する」ことができる。
差し押さえ件数を減らす方策を実施する権力も得た。 差し押さえ件数を減らすために、個々の個人の住宅ローンの元本を「ある程度」減らす、という強制手段も金融危機に対する連邦政府の措置には、七九九社の大企業の株の空売を禁止するという項目も含まれていた。
空売りとは、投資家の戦略で、ある企業の株価が下がると予想されるときに、その株式を購入する。 ある企業の株価が上がると予想したら、それを買うのが普通だ。
もし下がるとすると、それを空売りする。 ある企業の株価が下がると予想されては、アメリカ国民に対し、PとBヘの反対意見を受け入れないよう、がなりたてて回った。
ニューヨーク・タイムズ紙の編集委員で、保守派と呼ばれるディヴィッド・ブルックスは次のように書いている。 「我々ニューヨーク・タイムズ紙は、これまで冷笑主義者たちの主張を取り上げることで政府の救済策に反対してきた。
が、これは間違いである。 本紙は、これまで自国のリーダーたちと、財務省や連邦準備制度に結集した専門家たちを嫌ってきた(が、これは誤りである)」ブルックスは、「結集した専門家たち」が経済状況の判断を間違い、朝令暮改を重ね、何が起こっているのか、全く分かっていなかったことを知っていた。

それなのに、ブルックスは、彼ら専門家たちの指図を受けないのは、冷笑主義で、野蛮な行為だと主張したのだ。 ところが空売りの禁止(取引の規制)は、政府の意図とは逆の効果を生み出すことになった。
投資家が投資をする場合、どの分野が健全で、どの分野が不健全かを知る必要がある。 投機家がある企業の株式を大量に空売りした場合、その企業以外の大多数の企業の株式は健全に取引されていると言える。
投資家たちは、これによって、正しい情報に基づいた、より安全な投資をすることができる。 こうした投資情報がなければ、投資家はより用心深く行動するだろう。
しかし、情報がないままで健全で分別のある投資をするだけで、資本を増やしていくのは困難簡単に言うと、あなたは投資家として、株式を借りてくる。 そのときの株価が一○○ドルとする。
あなたはその株式を一○○ドルで売却する。 手元に一○○ドルの現金が残る。

二週間後、その株価が八○ドルに下がったとする。 その時点で株式を買って、それを元の持ち主に返却する場合、投資家は、その企業の株式を保有者から借りてくる。
そして、それを現在の時点の価格で予め売却するのである。 そして、その株式の価格が下がったら、その株式を売った株数だけ買い戻すのである。
そのときの価格の方がはじめの売却時の価格よりも低くなっている。 政府当局者は空売りに大変批判的である。
それは当然だ。 空売りをする人々は、政府当局の気づかない制度の欠陥を衝いて、その存在を明らかにするからだ。
政府当局者は、詐欺師を探し出し、間違った会計慣習を改め、企業の収益性を実際よりも大きく見せようとするのを禁止する。 空売りを行なう投機家たちは、政府当局がやりたいと思っている仕事を代わりにするのだ。
彼らが特に内部情報を持っていれば、なおさらである。 投機家たちは、政府当局よりも素早く、怪しい企業に対しての注意を喚起する。
二○○一年末に発生したエンロン(両日。 ロ)事件を取り上げてみよう。
証券取引委員会は、会計と取引が不透明であっても、エンロン〔訳者註”電力の卸売り事業で巨大になった会社〕に対してお墨付きを与えていた。 空売りを仕掛ける投機家J・Tは、エンロンを調査し、不正を発見した。
Tは、エンロンの株式に空売りを仕掛け、エンロンの不正を告発した。 やがて人々もそれに気づき、エンロンを調査した。
そして、エンロンの行なっていた詐欺が明らかになった。 空売りを仕掛ける投機家こそが、詐欺を見破るモチベーションと頭の良さを持っているのだ。

空売りを仕掛ける投機家たちは、政府当局の専門家たちに怒りを感じている。 それは、政府が投資家たちに対して、ある企業の健全性について誤った情報を与え、騙して安心させるから空売りの禁止は経済情勢を改善すると言われている。
しかしこの取引規制は間違った考えのだ。 投資家たちは「ある企業が何か誤りを犯したら、政府当局がそれを知らせてくれる」とまで信じていたが、そんなはずはなかった。
投資家たちをしっかり守ってくれる公僕など存在しない、という市場の徒さえ存在するのだから。 さらに、空売りが市場で許されなければ、株価が高すぎるというシグナルを市場に発することができるのは大株主の行動だけということになる。
しかし、大株主だけが企業に関する有用な情報を独占するのはおかしい。 空売りを仕掛ける投機家たちも時として間違いを犯す。
それは事実だ。 だが間違いを犯さない人間など存在するだろうか。
株式を購入し、長期間保有する人々だって頻繁に間違いを犯す。 長期保有者が正しいとすると、彼らに株式を売却した人々は、間違いを犯したと言えるからだ。

株を売却した人々は、株価が下落すると予想した。 しかし、実際はそんなことはなく、売却した相手は株式を保有し続けている。
故に空売りに反対し規制しようという意見は、どんなにひいき目に見ても、正しいとは言えない。 一つに過ぎない。
ニ○○八年一○月、FDIC連邦預金保険公社は、政府が補償する一人当たりの預金額を、一○万ドル(約一○○○万円)からニ五万ドル(約ニ五○○万円)に引き上げた。 この措置はニ○○九年三月まで続けられる。
FDICの預金補償によって、人々は、銀行の財務状況を考えずに預金できるようになった。 銀行が破産しても、FDICが預金を保護してくれるからだ。
だが、これは銀行に慎重で分別ある経営を求めたこの時期に、連邦政府が、モラル・ハザードをむしろ助長する措置を取ったことになる。 そのために、銀行が預金者たちを精査する意欲を削ぐ結果になった。
FDICの総資産では、全米の全預金額のわずか○・五%しか補償できない。 従って、銀行の破産が続いたら、連邦政府は預金を補償するために(これは保険と呼ばれている)、紙幣を大量に刷らねばならなくなる。
激しいインフレーションが発生するだろう。 ある人々は差し押さえ猶予期間を設けるように提案した。
具体的には、六○日間を設定し、その期間は銀行に住宅の差し押さえを行なわせないというものだ。

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